11月号
170/607

R白泥色のかなり大きい水盤である。季節おくれの辿の葉2枚、えのころぐさ、アメリカ種のしだ(レザーリーフ)の三種を入れた。褐色と緑色の配合で、花のない盛花である。褐色と緑色だけの配合で、中に着想の変った取合せといえる。時として葉と実と枯れ草といったこんな盛花も新鮮な感じに見られるものである。前後がかなり深い。澁い褐色の迎の実、淡い褐色のえのころぐさ、猿い緑色の述の葉、淡い緑のレザーリーフ、この同色の配合に色の変化がある。渋い尾花も大きく、葉も太くひろがっている。紅葉のなつはぜを左右前の位置に配置して、Rこのすすきは私の庭のすすきで中央下部から後方へヒマワリを阻本入れた。秋らしい梢紹のある盛花といえる花器は黄土色の横長の水盤。中央に株をすえて左右をあけている。器の此が狭いので砂を入れその上に剣山を置き挿した。ひろやかに悠然とした花型だが、のどかな秋の牒村を思わせる様な花山村の小春日といった情緒がある。R もやや大きい。材料の分量も多く枝葉花の重この月の作品9作は普通の盛花、瓶花よりなりもあって奥行の深い作品といえる。これまでから繰り返して説明している様に、いけばなは立体的であるので写真では前へ出る枝葉、後方へ控える枝の前後のへだたりが充分にわかりにくいと思われる。瓶花盛花を活けて最も調子よく見えるのは前後の深い作品である。思い切って前方へつき出る花形、後方ヘ深く深く出す形、これが大切であることはいうまでもない。最初に立てる中央の枝を前方へ傾けて挿す、その前方下部の枝や花葉は更に前へつき出る様にさし出すこと。つまり、全体が前へ傾き、葉枝が入っている、ということが花型を深くすることになる。すすきや大輪菊、けいとう、しおんなどの材料は自然の形が直立しているのだが、これも前方やや前へ傾ける。このテキストの写真では直立して見える様なのも、よい程、前へ傾けてある。写真では前後の深さをあらわしにくいので、テキストを見られる方はよく注意して欲しいと思う。いちばん標準的な考え方は、花、瓶花)の場合、前方から見て機巾と奥行とが同じ長さであることが必要、さらに横巾よりも奥行の深いほど望ましい、ということである。思い切って深く、深く(深くということは前へ充分枝葉をさし出し、その前端から後方の枝葉までの寸法が深いということ)文章では示しにくいが以上の考え方がすべてにわたって必要であるということである。後方へも深く控える花必ずといって一瓶の花(盛4 @ すすきR ハスの葉と実レザーリーフ(シダ)なつはぜ花えのころぐさひまわり

元のページ  ../index.html#170

このブックを見る