11月号
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`{9,9,9 9. 9 `.9'飢,,t 一輪の花を手にとってみて、形のいちばんよいのは、開花のときである。バラ、ユリの類、ダリア、スイセン、ガーベラ、フリージャ、チューリッ。フ、と考えてみると咲いた花のほうが形がよい。もちろん、つばき、かきつばた、きく、の様にこれは日本の花の場合が多いが、つぼみの方が美しいという場合も多い。大体、日本の私達の習慣として花は未来のあるっぽみが好まれるのだが、つぼみの花はひっそりとして静けさがあり、これから咲くという閑雅な味わいがあって日本人の好みにあうわけだが、これと比較して開花の場合は、色彩といい整った花の形といい、いちばん美しい姿をあらわすときである。例えばテッボウユリの場合を考えてみる。緑色のかたいっぽみのときは形も悪いが、白く咲いた花は色彩も美しく形も実に美しい。いけばなの場合、日持ちのよいという点も考えられて、という考え方もあり、また開花とつぼみとを交えて形の美しさ、自然花の情緒を楽しむということになるのだが、また反対に開花だけ活けるという考え方も‘―つの手法であることを考えねばならない。(っぽみが永くもつという考え方も全面的にいえない。開花のほうが永く日持ちする場合も多い)そのつほみを選ぶ私達は常識的であるということも大切なことだが、時として常識を破るということも芸術を作る上に必要なことであることを常に考えねばならないことである。花の開花つぼみなどの問題は簡単なことだが、いけばなの全体に通じて、常に蒻拓するという精神を忘れてはならない。これは全般的にいえることである。なんでもない常識が固定した考え方になってしまわないように、常に翌かな考え方と、新鮮な工夫を生み出すことが大切である。葉が多すぎて形が複雑すぎるという場合がある。つばき、菊などその例である。業の多いがために美しい場合もありその反対の場合もある。普通、つばきと菊と配合すると二つの材料とも葉が多くて複雑に感じられよくない場合が多い。季節的には好ましい配合なので、なるべく葉が多くならない様に工夫することである。葉の多くない材料を選ぶ、茎のあらわな感じの見える様に活ける。出来るだけ葉を整理して活ける。など活け方のT夫をするのだが、この写真のように手のある篭はなるべく手の美しく見える様に注意することが大切で、そんな点でも葉を少なくして活けるように注意する。落若きのある美しい篭入れの盛花である。3 ... 、デゞ^.4> 黄菊白つばき黄褐色小菊(花器あけび手附篭)

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