11月号
116/607

生花の技術上に必要なことを、ニ、三とりあげてお話します。みずぎわ生花の形の中でいちばん厳しく考えられるのは「みずぎわ」の技巧です。水ぎわ立った美しさという言葉のあるように‘―つの生花の最も重要な部分であり、生花らしい特微のあるのもみずぎわの部分です。みずぎわを美しく作る、みずぎわを美しくそろえる、ということは生花を活ける人にとって、最も苦心するところですが、技術的にいろいろな工夫があって、これは実際に鍛錬する気持ちでないと、あらわせない複雑なことなのです。しかし、木の材料(曲げることの出来る)と草花の材料(直立した草花の茎)とは花器へ入れる順序から迩いますし、菊の類(曲げることの出来ない直立した茎)なども特殊な工夫を要します。花器に入れる順序とか、曲げる材料、曲がらない材料というのは、これがみずぎわの揃え方に深い関係があって、木の材料、草の材料などの区別によって、みずぎわの揃え方と工夫も変わってくるということになります。また、水草類などのみずぎわは、池辺にある自然の感じを心に描いてつとめて写実的に軽やかに活けあげますから、これは自然そのままのみずぎわということになります。木の材料に草花のあしらいをつけたときのみずぎわの作り様、細い木言葉ではいいもの(例えば、こおりやなぎ、えにしだのように)のみずぎわの揃え方また、オミナェシのような草花のみずぎわ、それぞれ入れ方、揃え方に特殊な方法があるわけです。このテキストに掲載した写真をみて下さい。どの作品もみずぎわが一つにまとまって揃っています。そして美しく花器に人ってゆきます。これが生花の大切な部分なのです。枝茎のそろえ方ふとい木の材料、細い枝もの材料菊の種類、草花の類、いずれにしても花形を構成する場合に、枝葉花を美しくそろえる、ということが大切です。生花は細い枝ものの代表的な揃え方を示しています。また、ザシは少し太い木ものの古雅な材料ですが、自然風な形の中に変化のある材料をどんなに揃えて花形を作るかという点に、参考になると思います。流麗な線の美しさと、雅致のある強い感じの木もの、また菊の様に茎は葉にかくれて見えないが、花とp3に掲載のコオリヤナギのP5のサン葉の配列によって、特殊な花形を作るもの、カキツバタ、花菖蒲、スイセンのように葉を揃え組み花形を作るもの(オモト、シャガ、バランのように)花の個性の変わるごとに、枝葉花の揃え方がことなり、技法も迩うことになります。いけばなは伝統の古い花、現代的な盛花瓶花のどの場合でも花葉枝のよきバランスによって理想的なよい玲8、それぞれの木の花、草のバランスのとり方形を作ることになるわけです。ことに生花の場合は、日本の伝統的な造形美術にみられる、日本特有の真行草の思想や、序破急の格調、などの考え方が多分に存在しておりいわゆる右長左短の形のとり方が、花形の中に多くとり入れられています。このページに掲載の「三重切筒の生花」の医をみて下さい。三段に切った竹の花器に、上部は大きい花の右へ出る形中部は小さい花の前へ出る形下部は中程度の花形が左へ出8 克松枯?t9か柿望さんじゅうきりづつせいか(専渓画)三重切筒の生花

元のページ  ../index.html#116

このブックを見る