11月号
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品格の高い花である、ということは生花の場合に最も必要な条件です。いけばなの高い品格というのはどんなにすれば作れるのでしょう。中々簡単にはいいきれないむずかしい問題ですが、要するに活ける人の趣味や思想が作品に反映して、しかもその感覚をあらわすことの出来る技術が、その作品から高い品位をうみだすことになるのだ、と思います。品位を生み出す技術ということは技術的に俊秀であると共に、過ぎざる技巧、残された余忙、自然と技術の完全な調和ということであり、それが見る人に強い印象をあたえ、結果としてそれが生花作品からうける高い品位ということになります。早咲きの白椿を壷と水盤に二作っくりました。壷の花は真の花形の生花、水盤の椿は行の花形の生花です。椿は品格の高い材料ですが、活ける花形や技術によって品格の悪い花にもなりやすい、むずかしい花材です。分量多く活けることもよくないし、大きい花形も感心しません。単純清楚な感じ、簡浄の美といった、そんなきびしい感じの花です。枝業をまばらに切りとって、無駄のない芙しい形を作りたいものです。6 RR ⑧ 白桔白椿(水盤)(壷)R `

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