11月号
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さきにお話しましたように、花器に調和する花形ということは、作花の場合にも大切なことでありまして対。ヘージのヒマ、グラジオラスのように花材が南国的な変わった材料には、印度の鉢を思わせるような花器がよく調和するし、ホトトギスのような軽やかな細々とした草花には背高い形の野趣のある花器がよく調和します。花材にびったりするような花器を選んで、花形もそれに調和する花形を選んで活けることです。ヒマの副材にグラジオラスの花茎のさきを切りとって、下部の大輪咲の部分を三本あつめて挿してありますが、変わった用い方です。グラジオラスの花は盛花瓶花にも、庄花にはもちろん用いにくいものですが、この写真のように開花だけ使うようにすると、咸心じがすっかり変って面白い形となります。先月号巻頭の。ハン。ハスの瓶花をみて下さい。この。ハンパを三段に切り分けて三本にして挿しました。゜ハンパスは一本では大きくて使いにくく、風惰にとぽしいものですが、三つに切って使うと案外形よく使えるものです。グラジオラスの尖端を切って使うのと同じような工夫ですが、皆さんも研究してごらんなさい。格好よくなります。グラジオラスの閲花部分に緑の築を短かくつけて、これは鮮やかに美しい色です。スは一本の穂c「さんざし」は山地に野生する実の美しい木ものです。まっ赤な実が群がって晩秋の情紹の深い材料ですが、これを一種生にしてかなり豪華な感じの生花を作りました。さびた枝振りのものを集めて、自然の枝振りを活かす様に考えつつ、花形は「副流し」の草(そう)の形に作りました。真行草の花形というのは、まっすぐな形のもの(真)少c し柔らかみのある柔軟な花形(行)変化のある花形、いあらわした言葉で、そのうち草(そう)の花形は、自然草木の変化のある形を生花に活ける場合が多いわけです。このさんざしの生花は全体の調子が古雅な咸じですが、花形としては左方へ長くはり出した「副」の部分と、右下の「留」の形が変わっています。副を長く作って真を少し低く(草)の区別をい留は前方右へ変調な形で上方へのび上がっています。左方の副が垂れるような形に対して、留を反対に登らせているわけです。対照的な形のバランスを作っているわけです。真、副、胴、留、控の各部分に変化のある枝の配置と引きしまりを作りつつ、仝体的に豪然とした自然の悠じをあらわしていると思います。このように材料に自然の変化のあるものは、それをつとめて活かすようにして、しかも生花の格(花形)にはまるように、形づくることが大切なのです。技術のことはいうまでもありません。形のバランスの儀れていること株もとの美しい揃え方(ゆったりとした感じに)、しかもその上に口祝gの高い花であることが必要です。c 5 iさんざし一種

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