10月号
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専渓すすきの尾花が白く風にゆれ動くようになると九月の秋である。萩は白とさびた色の紅。新秋の草花が咲きはじめて秋の序曲をつげる。日本の秋の風景を彩るものは山や野に自ルするすすき、ひがんばなの赤色の花。いずれともなく伝えてくるきんもくせいの甘い香りであろう。すすきは東部アジアに野生する草で、日本中国朝鮮の山野に繁茂し、一般に青すすきといわれる野生種のほかに、葉にたてじまのあるしまがや、やはずの様な模様のある脱の羽すすき(やはずのすすき、又は段すすきという)、糸すすき、かるかや、八丈すすき(葉が広い)などの園芸品種がある。八月ごろから花屋でみかける。ハンパス(。ハン。ハス、グラス)。高さ三メーターから五メーターに及ぶ隆々とした感じのすすきだが、これは南米の原産で、細く鋭い葉がたれさがって広い洋風庭園や農園の芝生に植生しているのは雄大な感じがして見事である。志賀重昂の(世界山水図説)の中に南アメリカ大陸の特色は大草原にある。゜ハタゴニアからアルゼンチン、ウルガイにまたがり一望千里遥山点々そうもうの気のりて我が胸宇をとろかす処にあるー_中略世に荘厳というものを見んと欲せば秋の暮、太陽が。ハンパスに没する処を眺むるのである。。ハン。ハスおろしの吹けば草は万頃の煙彼のごとく、この波を駆りてくるものは舵烏の大群1以上のようにその状景が描かれている。しずかな秋景の中にある日本のすすきとは比較にならない壮大な風景だが、まことに。ハンパスの手にとってみると、その情紹が感じられるのである。(写真)。ハンパス、トクサ、菊たまたま一本をすす苔の秋.... 毎月1回発行桑原専慶流略編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1972年10月発行No. 112 いけばな

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