10月号
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9 し、。伝統と歴史にささえられた京都は実に美しい。古い建築庭隣をめぐる自然環炭の美しさは、日頃すみなれた私達さえも、京都に生れた寺せをしみじみ必じるのであるが、また同時に、新しい京都の町づくりについて、考えさせられることが多交通関係その他のむづかしい問題があつて、新しい都市計画はなかなか大変なことであろうが、その中に望ましいことは、美しい町づくりに京都らしいアイデアのあることである。鴨川に御池大橋が閲通して随分便利になった。この栢によつてひらかれた交通の利益は大きいものに辿いないが、同時に、この橋畔に立つて西方をみると、これまで見ることのできなかった町の美しさを発見することができる。ニューヨーク市のイーストリバーの大きさに比すべくもないが、それとは異つた鴨川の美しさを、新しい角度から見ることができる。由緒ある名勝地の保存と花材ともに、さらに美しい京都の創造について、関心をもちたいものである。桑原専渓年ごとに交通が煩雑になつてきたが、それでもまだ京都は静かで美しい。中央部の鴨川にかかる御池大橋、この辺りは空気も澄み近代的な景観の中に、古都の静けさを保つている。ストレチア新しい構成の美しさ、そんな点を中心に考えてこのいけばなを作った。現代的な線の美と、花材のもつ新しい感覚、花器の立体造形、しきものの黒白の直線、これらの配合によって作った「意匠花」である。。ハン。ハス(京都新聞京都再見)より花器は黒視色の陶器、ストレチアのオレンヂの花、。ハン。ハスのらくだ色、葉は後方に低く2枚さし添えた。二つの花器を対立させて(栂柱の様に)左右の花材が少し重なり合って結びあう様に形を作った。この瓶花は、写真の御池大柏のイメージから離れて、普通の装飾花として見てもよい作品であり、袢室の棚飾りの花としてもよく、昨店のウインドウ装飾としても調和する花だと思う。―つの課題をすえて、それに因んだいけばなを作るという楊合、一ばん大切なことは、直接的な意匠をさけること、品位の裔いいけばなであること。要は、課題をよく見すえて、その憾じをほのかな嫌味のない姿で、いけばなに再現することである。7 御池大橋^~ .戸

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