10月号
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f木苺きいちごいけ花によく使われている木苺は梶苺で、海岸近くに野生し、高さは2訂ぐらいになる薔薇科の木本性植物である。そして木苺という名称は分類上の属名で、単独に木苺という名の木は無い。梶苺、紅葉苺‘黄金苺‘蝦殻苺、苗代苺等をひっくるめて木苺というのである。木苺(梶苺)は春の芽出し頃から枝物花材として大量に売られていて、初歩的な稽古に使われている。だが木苺の特色かあらわれるのは六月頃実か熟して掌状の葉が大きく拡がってからのことである。その頃の木苺の葉は水々しく艶かあり、緑色も鮮かである。夏を越して十月に入ると、そろそろ紅葉しはじめるが、赤褐色から鮮紅色、朱色、オレンジ色、黄色と大きい葉面か枝の部位によって様々な色合いに染まる。黄透百合といけた木苺は‘まだ新鮮な緑色なので、この配色がよいと思う。だか秋口まで虫にも喰われず‘夏の直射日光にも耐える木苺は少ないので、葉付の状態の良いものを選ばなければならない。作例は横拡がりにいけたが、葉面を大きく正面に向けている。(紅葉時の闘はテキ頁ス参照ト)293号2花材木苺(梶苺黄透百合花器鱗文花瓶第三種郵便物認可桑原専座流いけばなテキスト340号1991年10月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専疫流家元発行定価五00円・ウえび9.りなわしろ

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