10月号
322/579

〈木瓜ほけ晩春、日当りのよい山の斜面の叢aehzに点々と、ふっくらとかわいい花の咲いた日本特産の草木瓜は、夏になると細い枝は重い実をつけて地面に垂れ下がっている。いけ花に使われている木瓜の原産地は中国南西部からビルマ北東部で古来分類の不明確な植物で梨属に入れられたり、勝股属、マルメロ属に入れられたりしていたが現在では木瓜属という一人前の戸籍を与えられている。昔は練があるので、いけるべきではない花材とされていたが草木の自然を愛した筈の日本人にも案外禁花は多かったのである。木瓜は開花期が長く、しかも開花後の実付枝も使われるので一年中いけ続けられる枝振りの良い花木なので私もよくいけている。作例は野放図にからみ合って伸びた枝をそのまま一種挿しにしたのだが、葉付きの一種挿4

元のページ  ../index.html#322

このブックを見る