10月号
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やまあいanv榛はσ〉見、えヲGoのそれでも花のつもりかな」と詠んだように人目を楽しませる色、形ではない。そんな花でも、風に吹かれると黄色い花粉が霞のように棚引く。夏には前の年にできた黒褐色の実をつけたまま、緑色の新しい実が同じ大きさに育ち上がる。そして落葉する頃には、今年できた緑色の実も凧に曝きれて黒褐色に変り、雪の中で冬眠期を送る。逗しい雑木である。そして、その実に榛の木の過ごす四季の想いが凝縮されているように私はいかにも冬木−−ト〜立という風情の榛の木を好んでいけているが、昔はいけ花にとりあげられることは少なかったようである。花材としての実績をつけはじめたのは戦後の現代花によく使われるようになってからのことらしい。面白いと思うのは、最近のウインド装飾、それも全く現代調の大きな空間に、榛の木等の大枝が一種挿しで堂々と飾られたりしていることである。又それが打ちっ放しのコンクリートや石の壁によくあっている。春には桜の大枝が、いけ花的な手法を加、えずいけられているのを見る山聞の榛の木が春と、清少納言の「勾欄のもとにあをき瓶のおはきなるをすゑて、樫のいみじ、つおもしろき枝の五尺ばかりなるを、いと多くきしたれば、勾欄の外まで咲きこぼれたるァ::」という『枕草子』の一節を思い出して、いけ花以前の気偉な花の楽しみ方にふと心をひかれることもある。今月号では、もつ一週間か十日もたてば落葉しそうな榛の木を使って投入と生花をいけてみた。落葉して枝に実だけ残った榛の木は、赤や賞の明るい色の洋花とよくあうとりあわせだが、葉をつけた榛の木は、はっきりと季節を感じきせるので、和風な花として菊をとりあわせてみた。花材として売られている榛の木は素直にのびた枝で雑木でありながらそのままでは野趣が之しいので、枝どりの工夫と、注意深く擦めることによって野生の自然を感じきせるような技巧が必要である。作例にはかなり癖のある枝をえらんではいるが、それでも左下にのばした技はかなり携めている。とりあわせた菊は、おだやかな色の黄菊と淡紅色の中輪菊を主に、水際の部分に自の小菊をそえ、色の混乱をきけて自の花瓶にいけてみた。花材榛の木(府見五倍ヂ)昔(菊淡紅菊白小菊花器白色陶花瓶ん榛の木の花は、二余が「はんのき木4

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