テキスト2011
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テーマは父、仙粛のいけばなは、立花にせよ生花にせよ、自由花はなおのこと、他の人の花とは違う独特の雰附気がある。きっと子供の頃から仙人に憧れていたという生き万そのものも、その中に加味されているのだろう。それに旅先で見たり感じたりした印象深いものの記憶の鮮やかさも並外れている。深く心に刻み込んで大切にしまわれている感覚の厚みが父のいけばなの源泉のように思う。心で感じとった「美」。それを形にするのがいけばなだとよく云っている。そのようにして花を生けるならば、それはまさに「花を詠んでいる」と云えないだろうか。「花を詠む」というと俳句や短歌を連想するが、私達のいけばなこそ、心の中の花をいけばなに詠みこむべきだと思う。そんなことを考えて、今秋点都で開催する桑原専慶流いけばな展のテーマを「花を詠む」に決めた。花に心を寄せて、感じとったものを表現する人を「花詠み」と呼んでみる。いけばなの花詠みたちがつどう秋の花展を存分に楽しみたい。九月には皆様にご案内をさせていただきます「花を詠む」仙渓6 一一一一一そ

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