テキスト2011
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枯私色は仙枯色も好きなようである。枯れてゆく木の葉の色も、いけておくと日々変わってゆく。緑の葉が少し白っぽくなったかな、と見ていると黄色みをおびはじめる。そこからだんだん茶色くなってくる。黄ばみはじめた頃は、まだ水気が残っているが、茶色くなると乾燥して、足で踏むとパリッと割れる。大きな木の下では、晩秋に散り落ちた枯葉が厚く積み重なり、やがて霜が降り、雪に覆われる真冬にも落葉の下は暖かそうである。外気がいくら冷たくても根はかじかんだりしない。春が来るまで木はゆっくり休んでいるのだろう。一驚寺にとっては冬もいい季節なのかもしれない。使った枯色の葉は擬宝珠。夏には使っても、とっておいてこんないい色になる迄置いておけない。こんな葉を私のためにとっておいてくれる花屋さんもあるのである。佳宏山色のカラーはニュージーランド産。毎年今頃入荷しはじめる初冬の好みの花。どんな色の花をとり合わせようかと思案するのが楽しい。今年は擬宝珠の枯葉といけ合わせたが来年はどんな花と想いはめぐる。晩秋輸入されるチョコレートカラーにも季節を感じているのである。花材チョコレートカラー擬宝珠の枯葉花器手付茶褐色粕シチュー鍋11 粛

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