テキスト2011
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ヲ。。竹内真三郎氏による花器はどっし庭の柿の木に登ろ、?として枝に手をかけた瞬間、チクッと電気が走った。よく見ると幹のあちこちに緑色のトゲトゲの毛虫がいた。せっかく忍者のよ、つに木の上から遠くを眺めるつもりだったのに、と苦々しい思いをしたのは小学生の頃の想い山。大人になり、いけばなを知ってからは柿の若葉の美しさに気付いたり、紅葉した葉の模様に見とれたりするようになった。とりわけ田舎の畑の真ん巾に大きな柿の木がわんさか柿色の実をつけているのを見たときなどは、なんて締麗なんだろうと思う。青い山を背景にして柿ノ木が神々しく見えたりする。いけばなでは豆柿やまれに来爺柿が花屋で手に入る。小さな柿の実は可愛いが、やっぱり大きな柿の色をこそいけてみたくなる。柿の産地から枝っきの実をいただいたので、重い枝をとめるのに苦労しながら投入にしてみた。三方向に枝を振り出してバランスをとっていりとした柿の重みを受け止めてくれて、柿色が鮮やかに映える。いつか見た青い山のように。花器碧利方形花器花材柿糸菊小菊柿の色仙渓9

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