テキスト2011
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おとこえし少し小ぶりな土木通である。奇妙な姿だがこれでも蘭科の草花である。山地の落葉樹林に野生している。花は赤茶色だそうだが実物は見たことがない。土木通の実は美しいというより変な色と形である。ここでは男郎花をとり合わせてみた。桔梗を挿しそえてみょうかとも考えたが、土木通の実の色をどぎつく浮かびあがらせそうなので止めた。私は土木通の実に剰軽さとかわいきを感じているので、つい買っていけてしま、っ。りんしよう落葉樹林の林床の腐葉土に根をはり、楢茸の根の菌糸束をとりこんで共生するらしい。従って栽培はむつかしいようである。栽培はされていなくて、山で見つかったのを切って花屋にとどけられる。野生の花は、その旬に見ることは滅多にない。とくに土木通などは野生の草花にかなり詳しい人でないと生えている場所は知らない。聞き伝えで見に出かけても、その句に早かったり遅かったり、見損なうことの方が多い。その上見付けても虫が喰ったり、花があまりついていなかったりする。野生の珍しい花は良い花屋さんを頼りにしている。花材土木通男郎花花器青灰色紬花瓶土っち木あけぴ通仙ひょうきん7 粛

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