テキスト2010
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L,出Hhq司A込弓寸る頃、花屋に為朝百合が入ってくる。「花木真窮」にはこの百合が為朝百合としてのせられている。山百合と同じような花だが、山百合だとすると東北地方から近畿地方の山地や草原に野生している。京都近辺では比叡山にも自生していて「叡山百合」と云ったらしい。近衛家照公の時代には、この百合を山百合とはよばずに為朝百合として、或は京都の百合として山百合という名とは異なったニュアンスでそうよんだとも思える。だが為朝百合という名の白花大輪種の百合(さく百合)があってややこしい。他の土地では山百合でいいのだが、京都では為朝百合。近衛家照公が「花木真窮」でそうよんでいるから私はそれでいいのである。した為朝百合の裾に仙翁の朱色の花。その中程で糸薄の葉。あけ放たれた庭からの微風が通り抜ける。それでも奥の聞はいけられた花のお陰で居心地がいい。夕食は何にしよう。暑苦しくないものがいい。笹百合の季節がすんで、祇園祭が始ま江戸時代の中期、近この衛えい家えひ照ろ公の著したとりあわせたのはせ仙ん翁のつにいと糸す薄すき、高く挿外は強い日射しで気温は三十五度以上。花材為朝百合糸薄花器染付深鉢為たりと朝も百合棲子かぼくしんしゃ/ 10

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