テキスト2009
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は勺苧む話がある。やがてその奮がふく紫木蓮梨木香歩さんの「家守締謹」という小説は植物の盆別が各章のタイトルになっていて興味をそそる。百年前のおそらく京都で、あるい版敷の向川守を預かる主人公が色々な不思議な体験をするのだが、その中に庭の白木蓮に雷が落ちてタツノオトシゴをらみ咲こうとする満川の夜、花から’円竜が僻り、天へ昇っていく。私の好きな場面である。木蓮は中国原産。日本の辛夷が咲くのと同じように早春に咲くのは白木蓮で、紫木蓮はそれよりも少し遅れて咲く。ただ「ト小法」と呼ぶ場合は紫木蓮をさす。白木蓮は花弁の外側も内側も白色だが、紫木蓮は外側は赤紫色で内側は白い。またこれらの交配品種に薄紅色の更紗木蓮というのもある。良い香りがするので中国では「本蘭」と呼ばれ、白花の白木蓮は「玉蘭」と呼ばれる。枝を切ると、木自体にもいい香りがする。「木建」は花が起の花に似るところから。また、木迷の花は蓮と同棋に原始的な構造をしている。太古から変わらぬ姿をしていると思うと、竜が宿る話も領ける。紫木蓮の花色を引き立てるために円花のチューリップをとり合わせたが、木蓮の色に似た赤紫色のチューリップを見付けたので加えてみた。いえも”さた仙ん渓4

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