テキスト2009
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だんちくかるかやなつろうばいになると暖竹にも見えるし刈萱のようにも見える。そして植物図鑑の戸田芝にも似ている。でもいずれにしろ秋風にゆれる姿は我々にとって親しみ深い。その秋の風情には野鶏頭の赤、そして枯れかけた擬宝珠の黄葉をそえると十月の花になる。秋の風が花の聞を涼しく通るようにいけたい。花材戸田芝野鶏頭擬宝珠の葉花器かいらぎ紬水盤〈ロ頁の花〉夏服梅の実と聞いていけたのだが花はまだ見たことがない。この実はだんだん紫褐色になってゆき、中には痩果が数粒入っている私達がよくいける黄花の臓梅は、名の通り臓月(十二月)に咲くのでその名がつけられた。中国から江戸時代に渡来した花木である。臓梅科の花木の種類は少なく、冬咲きの黄花蝋梅と、アメリカ黒蝋梅がよく知られているにすぎない。アメリカ黒蝋梅の開花季は五1六月に咲く。熟れはじめた黒っぽい実には、そろそろ盛季に入った菊がよく合っていると思う。花器濃緑色紬花瓶夏臓梅の実花材菊夏服梅の実棲子11 。

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