テキスト2008
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まどろばら蓄綴の色は:京都の花市場は月、水、金に市がす一つ。水曜日には月曜日とちがった務蔽が花屋に並んでいる。金曜日には又変わった品種が出てくる。「花の色はうつりにけりないたづらに技が身世にふるながめせしまに」という句が肯今集にある。この「花の色は」をきかえたいくらい蓄蔽の品種は変わってゆく。花が変わっただけでなく、茎がしっかりしていて水揚げがよくなった。その上栽培業者が包装に気を配るようになったせいか葉の傷も少なくなったので安心していけられる。エピデンドラムも随分大きくなった。昔は花は小さくて葉はついていなかったが、此頃は大抵葉付きでうられている。だからより自然な感じにいけられるということである。蓄蔽とエピデンドラムは同色に近いものを選んだが、一本だけオレンジイエローのを立ち上がらせて、その下の色をはっきりさせるようにいけてみた。毎年ム蒔八刀は京都府立植物聞の蓄蔽園の花が何卜種類も咲く。庭園向きに育てられた蓄積は切花とは違った良さもある。ル化材蕊川被エ。ヒデンドラム花器紫色ガラス器〈2貞の花〉楼子.. 「蓄積の色は」におくわずいも7←レ4ロツロU臼一『不喰芋の花の香り巨大な鳥の顔が積み重なったようなストレリチア・オlガスタにとり合わせる業物を探していて、手頃な大きさの不喰芋の鉢植をみつけたので、思いきって芋の部分から切りとった。大きな査に投げ入れにしていると、いつしかまったりとした甘い香りがする。まさかとは思ったが、はたして不喰芋の花の香りであった。南国には濃厚な甘い香りの花が多いように思う。日が暮れて、夜風が心地よく感じられる時分にこの香りが漂つできたら、どんな心地がするだろう。大きな葉が風に揺れる音が聞こえてきそうである。不喰芋の学名はアロカシア・オドラという。日本、中園、フィリピンなどに分布する里芋科アロカシア属(不喰芋属)の常緑多牛草で、誤って食べると舌がしびれて口がきけなくなる毒性をもっているが、これはシユウ酸カルシウムという成分による。一小喰芋とオlガスタをいけると、大きな鳥が大きな葉の陰で微睡んでいるように見える。甘い香りにうっとりしているにちがいない。花材ストレリチア・オlガスタ不喰芋グロリオサ点刻文大査〈3頁の花V仙渓3

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