テキスト2008
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五色唐辛子黒いといってもいいほど濃い紫色の唐辛子である。後ろの方に赤いのをのぞかせているが、同じ一本の唐辛子の茎の下の方の実である。宇耐熱すると上の方から色が濃紫に変わってゆくらしい。花屋ではこの濃紫色のと赤いのが五十本ほどが花筒に束ねて人れられていたが、そのままの形が美しかったのでかためていけてみた。濃紫色のを前に立て、その後ろから赤い色をのぞかせる。とり合わせる花の色は唐辛子の色と、かけ離れた色を使いたくないので渋い亦の蕎綴にした。葉のいいのを選べば足もとも形良く整えられる。唐辛子は二千年以上昔からペルーやアマゾン流域で栽培されていたそうである。そして卜五世紀の末、コロンブスがヨーロッパに持って帰ってから栽比刑されるようになり、十円年もたたない聞に中東からインド、東南アジアから巾同、そして日本にもやって来た。同じ茄子科の煙草も同じようなスピードで円本にももたpりされた。日本の麿辛子の使用料は韓間とくらべると大変少ないが、栽培の歴史はそれほど変わらないのである。気候や風土、或いは国民性の相違のせいなのだろうか。花材五色唐辛子高被花器濃紺紬コンポート仙粛10

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