テキスト2006
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仙粛彩歳「色主型」私は近頃、花色のとり合わせを考えるのを以前より楽しんでいる。色主型とも云える。そして花隈会でそれを試してみたりしている。花曜会の日には、前日の月曜日に入荷した花を狙って花屋に行くのだが、時々こんな花もあったのかと思うような色の花に出合うことがある。そんな花が見つかったら、あとはその花の色をひき立てられるような花を選ぶだけでいい。花型は、いけはじめている問に自然に山来てゆく。うまくいった時は大変嬉しい。花曜会では私も花をいけるので、批評はしていない。批評は家元と概子の二人が私の花についても色々と成箱心を話してくれる。今日のは少し見当外れのとり合わせだったかな、とか一人よがりだったかもしれないと感じていたときは的確に批評してくれる。人からあまり批評の聞けない私には有難い声なのである。配色は同系色の濃淡であったり、反対色もよく使、っ。花一輸の色によくない色はない。どの花も美しいのである。だがその花にとり合わせる花の色によって、主材の色を駄目にしてしまう。そして配色がよければ花型も何となくすらすらと出来上がってゆくものである。いけばなの形は絵や文章でわかりやすく説明することができるが、配色を解説するのは大変難しい。テキストのカラl印刷、だと、かなり正確にわかっていただけると思うが、それでも、実際にいけられた花とは何となくちがっている。その上、例えば二色の花と葉のとり合わせで、主になる花の後ろの方にちょっと他の色の花をのぞかせるだけの場合、大変主色が美しくひき立つが、その後ろに使った花を前面に持ってくると、全然よくないということもある。花の色の説明は難しいが、形は基本花型なら真は水盤の直径の何倍、或いはこれぐらいの角度で斜め+昼間に出すと云、えばすぐにわかる。だが色はピンクと云っても向に近い淡色から濃いピンクまで様々な段階がある。その上膜脂色をうすめた青み系のピンクと、オレンジ色がかった朱色を、?すめた柔らかい系統のピンクもあって、どちらか選ばないと配色が崩れてしまう。いけばなでは古くから花型図は発達していたが、その多くは本版の墨色で線形が正確に描かれているだけだった。彩色画もあるにはあったが色は正確には伝わってこなかったのではないかと思う。カラl印刷が発達してきた現代、花型と共に色も正しく残して行きたいと思っている。11

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