テキスト2006
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いたやかえで緑ひときわ仙渓よく水の揚がった楓がいけであると、なんとも清々しい気分になる。家の板屋楓も毎年枝を広げるので、時々切って花瓶にいけている。葉の重なりが涼しそうな影をつくりだす。楓の仲間をいける場合、最初に切ったときの水揚げが肝心である。いけばな展で鉢植から切っていける場合があるが、切ったらすぐに切り円を深い水につけて暫く休ませる。その時に足元を鋲で割り、できれば生萎をはさみ、皮を削っておく。春の華道京展にお弟子さんの清水慶雄君が板屋楓をいけた。たっぷりと緑を重ねた中からホルダーを使って三色のオンシジウムを覗かせただけのシンプルな構成だったが、葉の緑が一際美しく、トルコブルlの大鉢とも爽やかに映っていた。華道京展では彼のとなりに白・ピンク・濃赤色、そのとなりに薄ピンク濃淡・淡緑色・濃緑色・ブルー(ガラス花器)へと移り変わる花席となり、花席全体の巾で板屋楓の緑色が空間に潤いを与える重要な役割を果たしていた。作例は春から初秋までの作例として菊とグロリオサを合わせて投入にしてみた。花材板屋楓白菊グロリオサ(赤色)花器小紋花瓶7

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