テキスト2006
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こばんあざ齋E仙齋彩歳「花見」久しぶりに、本当に久しぶりで、平安神宮の紅枝垂桜を見てきた。素子の妹達に誘われてのことだが私一人では、行楽シーズンの名所へは行く気がしない。西神苑は、周囲が大木の緑で囲われている。その深い緑の中での濃い桜色が京都の春というものを泌々と感じさせ、改めて京都の磨き上げられたと気付かされる。桜の名本は全国各地で今年も咲いている。樹齢何百年という桜の大木が野中に雄々しく立ち上がっている,その姿は鉦年新聞やテレビで知らされる。立派であり神々しい感じさえするが、平安神宮の紅枝垂桜は、京都の造園感覚が、千二百年以上かけて造り上げた庭の桜なのである。何十本も植えられている西神苑の紅枝垂桜は裔さも幅も土にぐらいだろうか。だから家の庭にも一本欲しいな、という気分で見ることができる。そこが好きなのである。いわば、街中の暮らしにとり入れられるような桜だと思う。平安神宮から、まだ桜が続く。平安神宮を出て動物園の北側を東へ行くと、岡崎のお邸町になる。明治、大正、そして昭和の初期に建てられた、いいお邸が並んでいる。そこにも桜が植わっている。人通りは少とはこれだったのだな、仙齋ない。も、?少し歩くと南禅寺。丁度間帯だった。そして夕食を終えて円誘ってくれた妹達、そして姪にも感謝しておこう。「山吹色」は小判の色である。だから歌舞伎や時代劇にはよく出てくる言葉である。それから、お金のことを黄白と云ったりもする。黄は金、白は銀のことである。山吹は古くからいけられていたが、あまり水揚げのいい花材ではなかった。だから私の稽古場では敬遠していたが、近頃栽培方法がよくなったのと、輸送が早くなったお陰でよくもつようになった。いける形としては、ゆるやかに垂れるカーブをみせるよう斜めに挿し揃え、軽く、のびのびといけたい。とり合わせるのは季節の日本種の草花がいい。み荊、花菖蒲、杜若、百合類の他いろいろ考えられる。この作例では、山吹の花より少し淡い黄色の牡丹をとり合わせてみた。黄色が主体になるので、花器も山吹色ということで金色の四角い文様の舟型水盤を用いた。花材山吹嗚子百合黄花牡丹花器金彩舟型水盤タRが山門を照らしている枢尚の時7 山吹色仙ま山や公園の夜桜を見ての半Hon然

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