テキスト2004
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まなれなかてまどしまう魅力があった。母のひとこと「こんどのテキスト何いけるか考えてる?」まだ撮影日には充分に聞があるのに、毎月必ずこの質問がくる。「そうですねえ、九月号だと秋の花ですねえ・・。」などとお茶をにごしていると、「あのなあ、いっぺんあの花器にいれてえな。」とヒントをくれる。テキスト撮影日。ポラロイドで最終確認をするのだが、母に見てもらうと、「ここやなあ」と、チェックがはいる。「ちょっと重たいなあ」「すこlし足らんのとちがう?」そんなアドバイスも、もうもらえなくなってしまった。花道家元の家に生まれた棲子との結婚を決意したときから私のいけばなの道は始まった。その後両親の仕事を手伝いながら、いけばなにかける情熱の強さを教わった。二人が海外で花をいけた『花ふたり旅』ではトルコ・エジプトでの撮影以外、いつも私と両親の三人組で旅をしてきた。旅先で出会う人達とは、たばこの交換ですぐに仲良くなっていた母。その無邪気な笑顔につい引き込七竃の大枝に大輪のカサプランカを一本だけ挿した。純白の凍とした美しさに母の面影がだぶる。仙渓作花材七竃百合(カサプランカ)花器彩泥角花瓶宮下善爾作4

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