テキスト2004
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あじろ竹の鼎(かなえ)七月の祇園祭の頃、、浴衣姿の友性や、組や紗の夏の着物を美しく着こなしたご婦人を見かけると、いいものだな!と思う。洗練された服飾文化の美しさに見とれる。また、夏になると京都の町屋では、障子や襖を簾戸や御簾に変えたり、畳の上に網代を敷いたりして夏を過ごしゃすくする。そうした夏の設えは、季節にあわせた快適な暮らし方であるとともに、香り合同い生活文化の調和を感じる。いけばなの器や敷物も、季節に合わせた選び方を楽しみたい。夏は白磁や青磁などの磁器の器。陶器なら染め付けなど、見た目にも爽やかな器や焼き締めのような素朴なもの。ガラスの器も夏にこそ使いたいし、龍の軽やかな風情もよい。竹の器なら作例のような鼎がいい。その下には柿色の麻の敷物を選んだ。敷物はいけばなの引き立て役と考えて、余分な装飾や無駄な重苦しきを感じるものは避けたい。深山南天の軽やかな枝を横張にいけ、花器の口元に桔梗を三本。そのうしろに白色の笹百合と薄紅色の乙女百合を立てた。三本足の聞を山の爽やかな風が吹き抜ける。(仙渓作)花材深山南天(南京七竃)花器ろしゃ笹百合乙女百合桔梗鼎竹器すどみす8

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