テキスト2004
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花器の選択この頁の花器は高さが三十八で口の大きさは十二Y×十三F。白い紬薬がかけられた上に黒苔]の濃淡と金彩で波紋状の模様が描かれている。かなりしっかりとしたいけばながいけられる器なので、師範認証式で中の間のいけばなに使った。写真では分かりにくいが、右下の百合は花器の口から五卜Y前方へ出ているのだが、花器の高さ(深さ)と安定の良さが百合の張り出しを自然に受け止めてくれている。この花器の直線的な立ち上がりと黒、向、金の模様は、ハレの日の厳粛な雰囲気によく映る。このいけばなの前では背筋がピンと伸びるような、そんな印象を与える器である。花をいける時に一番難しいのは花器の選択だと思う。今、家には多くの花器があるが、花と器の相性、色と形と質感を直球い的に判断できるようになるには、日頃から感覚を磨きつつ多くの花をいけることにつきるだろう。父や母、機チの感覚を盗みつつ、諸先輩の花や時にはお弟子さんの選び方に学びながら、少しずつ自分のものにしているのが実際のところである。(十五世仙渓作)花材百合デンファレミリオグラタス花器四方足付花瓶竹内真三郎作10 r

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