テキスト2004
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く均んぞうぜんまいぜんまい早春の花として親しまれているプリムラは、日本の野草である桜草ゃ九輪草の仲間(桜草科・桜草属)である。プリムラにはいくつかの種類があるが、そのうちのプリムラ・マラコイデスは中国の雲南省・四川省が原産地の小輪多花性の品種で、和名を化粧桜、乙女桜ともいう。十九世紀後半にヨーロッパに紹介されて多くの園芸品種がつくられた。花色は白、桃、赤、紅、藤色や覆輪など豊富にある。作例にはピンクのプリムラ・マラコイデスの鉢植を買って、花と葉を鉢から必要なだけ切ってすぐ水切りしていけている。花は下の方から痛んでくるので、汚くなったものは取り去っていける。取りあわせにはプリムラを隠さずに伸びやかな動きが出せる蔽を選び、早春の季節感を深めながら蔽の茎の色で全体を引き締め、渦巻状の若芽を弾むような調子に立てた。鉢植えの可愛い草花をいけばなに利用するには、充分な水揚げと手早くいけることが大切である。鉢から切りとった花や葉は、水切りした後しばらく深水で休ませてからいけるようにする。花材プリムラ・マラコイデス花器ル数焼締変形鉢プリムラ和則,, 10

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