テキスト2004
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はしばみ榛は、北海道南部から九州まで、日当たりのいい山地に生えている樺ノ木科の落葉低木である。いけばなに使われるのは、初冬に落葉し始め、数例ずつ細い枝から垂れ下がる雄花の細長い花序の蓄が目立つようになる頃からである。花屋で売られている榛は、輸送に便利な真直な枝ばかりで、花型に変化をつけにくい。幸い流内に榛を庭に植えておられる方があるので、時々切らせて頂いている。作例の副につかったのがその一本だが、一作の生花に変わり枝は一箇所だけでいい。榛の生花のとり合わせには椿がよく使われる。終業して、寒風に晒されている頃に咲く花というと椿各色の他に和花の代表的な水仙だろう。とり合わせた椿は、淡紅色に白斑の入った品種で、二月に春暖を待つ佐ぴた榛には向いていると思う。花型草型副流し花器灰色紬花瓶(仙渓作)榛6

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