テキスト2004
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の先に北山が色鮮やかに、そして他の季節よりも迫ってくる。一寸散歩に出かけて来ょうかという気になる。{永から京都御所を通り抜けで川端通りを北へ歩く。加茂川縁の柳は葉を落としてすっきりとした姿で風に吹かれている。河原の道は見晴らしがよく、今出川通を過ぎると落葉した棒の並木を見上げながら上賀茂神社に着く。何キロぐらいか知らないが、その問常緑樹と落葉樹の冬枝が優しく京都の四季を話してくれる。いけばなには落葉樹の冬枝をよく使う。柳は冬芽、錦木は裸枝。一見こわばった枝だが、その鰭の切れ目には五、もない緑色の芽がついている。冬とは争わずにじっくりと春を待っているのである。そこが花であり、命なのである。枯々した枝には水々しく色鮮やかな花をとり合わせたい。アマリリスの茎は錦木とは対照的な感触だが、並べていけてみると私達の住む地球の豊かな自然を垣間見たよ、つな気がする。緑としてそえたのは菩蔽の葉である。管理よく育てられた喜被は葉も大切に使いたい。花材アマリリス錦木蓄薮の葉花器耳付褐色粕花鉢冬枝快く晴れ上がった冬の日、烏丸通(仙渓)II

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