テキスト2003
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・τ勺花材胡蝶蘭苔木ょう−つん蘭を生花に植物図鑑に野生のヴアンダの写真が出ている。熱帯林の大木の木の股に五本のヴアンダ・コルレアが着生して長い気根を垂らしている。樹聞を覆う緑の下で六十輪ほどの青紫の花が咲いている。その感じは神々しいほど静かな美しきである。闘の花は多彩で豪華と思いこんでいるが、野生の蘭にその風土で出逢ったら、蘭とは、そしてヴアンダとはこんな花だったのかと思いを新たにするだろう。野生の原種を原産地で見てみたいと思う花は随分ある。図鑑で見たヴアンダ・コルレアもその一つだが、この一枚の写真に、どれくらいの手間がかかっているのだろうと考えると気軽に撮影地のタイまで行こうとは考えられない。この作例の胡蝶蘭の生花は、さんが六月にパリでいけばなの個展のポスターにするために撮ったものだが、胡蝶蘭を直接花器に挿さず、苔木にからませたのは、その生態をとりこみたかったからだそうである。そう聞いて成る程と思ったが、生花の花型をこわさない程度に気根をもう少し伸ばしてもいいのではなかったかと思う。花型草型副流し花器金色鳥形コンポート3

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