テキスト2003
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ひきめななかまど力強い結集初冬、桐がすっかり落葉すると、昔粉をまぶした小さなお団子のような奮が見えてくる。奮の枝下には、その年の実が茶褐色に枯れている。今年の秋は暖かすぎたせいか、下の方に淡紫色の花が狂い咲きしている枝もあった。それは桜や雪柳のような返り咲きではなく、狂い咲きとい、つのだろ、っ。春咲きの花の奮は効率的な査に包まれている。柳類はオイルクロスのような査で氷雨をはじく。桐の奮は厚みのある壱皮の上に黄粉のように見える短毛で寒気に耐えて一冬過ごす。そして充分暖かくなった五月頃、木全体が淡紫色の花に覆われる桐は凌一脊科(のうぜんかづら科・胡麻の葉草科に入れられていることもある)に属している。この桐の昔と実に対して、とり合わせとしては少し変わった七竃の実を多色葺に使った。この七竃の実はやや小粒だが完熟しているので、その赤は艶やかで冴えている。かなり気温が低く、空気の締麗な土地で育ったのだろう。両方とも大枝の枝ぶりは見せず、奮と実をマッス状に使って色の対比を見せた。七竃の実碧紬花瓶森野泰明作花材桐菅と実花器II

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