テキスト2003
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寒楼花型草型留流しカ、、しし。花器青銅龍耳花瓶もののあわれ、此頃あまり使われていない言葉である。桜は小春日の暖かさに春を感じてつい花を咲かせてしまう。いとおしい感じ、それを平安時代調に表現すれば「もののあわれ」となるのだろう。寒桜はあまり賑やかにいけない方桜には十月桜という品種もあって一概に春の花とはいえないらしいが枝先にまだ青みのある葉が二、三枚残っていて、その下にポツポツと返り花が咲く。葉が落ちつくした冬枝には、夏の聞に逗しく育って今はゆっくり休眠しています、という落葉樹の強さを感じるが、いけばなにはならない。返り花が咲いた時こそ桜に「もののあわれ」を感じ、いとおしく思うのだろう。ひそやかに丁寧にいけてやりたい。6

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