テキスト2002
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旧東ドイツで日独交流和則東西ドイツが統一してロ年。旧東ドイツの都市では第二次大戦で崩れたまま放置されてきた文化遺産的建造物の修復が進められている。美しい自然の風景と、復興の進行を目に焼きつけるために、多くの観光客がやってくる。そしてドイツの主都となったベルリンでは、もとの東ベルリン側で、次々と超モダンなビルが建てられ、多くの若者が集まり、新たな変貌を予感させられた。5月末に私達が訪れたのは、ベルリンから北へ180キロ。ドイツ・メクレンブルク州テテロウ市に昨年開館したばかりのシュロス・ミツコ(光子城)で、この建物は、京都に住む画家のハインリッヒ・ヨハン・ラデロフ氏の呼びかけによって、朽ちかけていた歴史的建物を地元の人達の奉仕作業で修復したもので、多くの人の熱意で日本文化紹介の場が誕生した。シュロス・ミツコの一部はまだ修復の途中であったが、4つの部屋に、日本の着物や軸、茶道具や人形などが飾られ、テテロウの代表団が京都を訪れた際に撮影した、寺院や日常生活の写真がコメント付きで展示されていた。そして私と楼子が、ドイツで活動中の藤井氏(当流師範・画家)と菊池氏(彫刻家)に通訳をしてもらいながら、いけばなの実演をさせていただいた。光栄にもシュロス・ミツコでの日本人として初めてのパフォーマンスを喜んで下さり、皆さんの心のこもった歓迎を受けた。今はじまったばかりの心の交流に加われたことに感謝するとともに、これからも温かく応援してあげたい。8

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