テキスト2002
70/144

なめユーカリ先日NHKでオーストラリアの山約八百種もあるユーカリ類の殆どすべてがオーストラリアの固十賀檀である。そのうち私達がいけばなに用いているのは七1八種にすぎない。そして枝物花材として売られているユーカリの枝は太さは一刊ン前後だが、その枝から樹高五十幻以上に成長する大木の姿、その森の雰囲気は想像しにくい。又私達はユーカリを葉の形で丸葉ユーカリ、ユーカリと分けているが、オーストラリアではよく目立つ樹皮の状能γ乞表した通称でよばれているそうである。たとえば『ガム』は毎年はがれる滑らかな樹皮、「鉄の阜、「ストリンギlパック」は節ばった皮ではがれにくい。「ブルツドウッヅ』は血の木の意味で、樹皮の傷口から赤い血のような樹液が流れ出す。広い国土でユーカリの大木と一緒に暮らすオーストラリアの人々と、小枝をいけている私達とでは、ユーカリに対する観念もかなりちがうのではないかと思う。地をトレッキングする番組を見たが、とくに興味深かったのは樹皮がはがれたあとの大木の木肌の美しきである。植物図鑑で調べてみると、それ「マリl」とよばれているユーカリで脱皮直後の写酋六が見付かった。茶褐色の古い樹皮がはがれ落ちると、三角葉ユーカリ、小業のすべすべしたピンク色がかったクリーム色の幹に色変わりしている。そして木の下に散らばった古い樹皮との色の対照も美しい。今まで知らなかったユーカリの一面である。いけばなは、植物の出生を基にしてその美しさを深めてきたが、輸入花材が多用されるようになった現在、いける花材の自然状態を実見できなくても植物図鑑の良質なものを見て大体のことを知っておきたい。花材としてユーカリは一年中季節を問わず入手できるのと、葉が銀緑色なので、どんな色の花とでもとり合わせしやすいということ、そして枝ぶりにあまり特異な形がなく稽古用花材に向いている。作例では丸葉ユーカリにピンクのトルコ桔梗をとり合わせている。使ったユーカリは二本。トルコ結梗は一本に花が五輪ほどついたものを四本。花器の口の直径は三弓ほどしかないが花付きの多いトルコ桔梗を使って挿す本数を少なくすれば簡単に作例のような形に仕上げることができる。このトルコ桔梗の塊りに対してユーカリは上又は横に長くのばして花型をととのえる。花材ユーカリトルコ桔梗花器紺色糊花瓶は6

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る