テキスト2002
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桃と牡花材桃牡丹著義いい花丹材を和ゆったりといける。日頃の稽古では扱ったことのないような高価な花材や、自分の背を超すような大きな枝を手にすると、誰でもどういけてよいか悩むでしょう。そんな時私の場合は花材の品格を損なわないように、まずおおらかな気持ちで花をながめ、その花や枝の美しさを感じとり、どのような姿にいけあげるかを頭の中で考えます。どのくらいの長さに切るか。枝をどこまで見せるか。止める角度は。作例では春に気品高く花を咲かせる桃の大枝と牡丹をそれぞれ一本づっ取り合わせました。二股に分かれて伸び上がる桃の枝の特徴をおもいきり大胆に見せて、普段よりも高くやや右寄りに立て、足元左寄りに牡丹を手車〈挿し加えて、全体のバランスと、水際をつくるために著義の葉を加、えました。いけあがったこの花型は基本型にはあてはまりません。又、をまともに見せるいけ方は日頃あまりしませんが、大胆な桃の枝を、足元の牡丹の緑の葉がしっかりと受けとめています。いけた二日後に、牡丹の葉が少し丸まってきたため、桃も小さく切って挿し直しましたが、いい花材に向きあえて充実したひとときでした。花器染付平鉢二股の枝則10

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