テキスト2002
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日本の梅この白梅は、いけて四、五日日に菅が全部開いた。枝令十体に五弁の純白の花が連らなり部屋は香気に満たされる。赤い椿も花弁を大きくひろげて梅の群がりと鮮やかな対照を見せた。梅は日本にも向生していたという説もあるが、奈良時代以前に中国から渡来したとい、?説の方が正しいようである。だが渡来した梅の種類は一、二種にすぎなかったとしか考えられない梅が日本の閑芸技術によって問百種ほどの品種数に達していると牧野富太郎の「植物記」に書かれているのを読むと外来植物の梅も、日本にしっかりとした根をおろしていることがわかる。梅に対して椿は純日本産の花木である。白梅と紅椿。二種の花が最も美しく咲く季節には是非いけたいとり合わせである。大作なら太い広品。床の間にいけるなら作例ぐらいの量。品格の高い小品花にもなる。梅の文化の発祥地の中国では、梅に水仙というとり合わせが好まれているが、中国に椿が古くからあれば椿に変っていたかもしれない。花材白梅花器柿色粕花瓶紅椿9

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