テキスト2002
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ぬか日野菜と里芋の親子滋賀県の日野町。日野菜はここを中心に栽培されている。そして塩漬けや糠漬けになって、京漬物の代表格の一つである。作例のH野菜は御近所から頂いた無農薬栽培品である。普通のものより少し大きくてC字形に曲がっている上に色付いた葉が水々しい。形よくいけて飾るのにふさわしい日野菜である。里芋も一緒に頂いた親子の芋で、糸事乞とり合わせてみると初冬らしさが色濃く感じられる。こういう盛物は、いつも食卓に出てくる野菜が土から掘り出されたときの姿、土を洗い流せばその滋味を色、匂いからも改めて感じとることができる。この頃「京野菜」を全国に広めようという話をよく聞くが、京野菜に詳しい竹中慶敏先生のお話によると例えば九隼忽は、九僚から京都市内と他の地区で栽培されるのと微妙な味の違いがでてくるそうである。特殊な植物は、その特産地でこそ持ち味が保たれるらしい。先代はよく「昔の京都の菊は、・・・」と話していたが、変性への正しい対応は大変難しいものである。花材日野菜里芋(親芋と子糸菊花器緑色漆角盆4

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