テキスト2002
137/144

あんろっ風土の花日本は自然に宙宮品れた国であるという。だがそう言われても漠然としていて、何がどのように豊かなのか私達には白党しにくいいけばなの本には必ずその言葉が出てくる。円本の問季には確かにそれぞれの変化の美しさ、そして折々の花を見ることができる。ところがヨーロッパに行ってみると、とくにイギリスの風景は緑が豊かだし、日本と同じ島岡なのに日本よりもずっと円然に市左品れているような印象を、つける。イギリスやフランスの現点の植物環境はそのように見えるが、自生植物の数字』遡って見山砕すと必ずしも忠まれた地域ではなかったのである日本列島の野山に内生している植物は約問000種と考えられている。それにくらべてイギリスには自生植物は多く見ても問、4行種しかなかったのである。自生植物とは植物が人間の手によって他の地方や国から移相されたりせず、ある地域にもともと自然に生え、生き続けて来た草木のことである。私達の国上の気候は夏は宅卜五度にもなる。これはタイのパンコックやエジプトのカイロ並み暑きである。そして冬には雷が降り、道が凍ったりする。でも暗欝なヨーロッパの冬と比べると、附れたけも多くて、雪の日にも椿や山茶花の真赤な花が咲いている。夏の暑さはイギリスやフランスとくらべるときついが、夏雨型の気候た条件である。その上冬の袋、さにも耐えられるようになって様々な草や木が安住してきた。植物にとって安住のできる風土は人間にも安住できる島岡である。そんな条件下でいけばなが生まれるのだが、次の号でヨーロッパのプラントハンターや柄物に対する戚交の流れを考えてみたい。昔の中近東あたりでは古代から桁棺が育てられていた。そして漢時代(紀元前二世紀)にシルクロード伝いに巾同にやってきた。日本は縄文時代から弥生時代に移り変わる頃である円本に栢棺が渡来するのは、その後千年以上たった平ム女時代だということである。+円代中近東から東西に分布していった柘棺はヨーロッパでは本来の山本樹として育てられたが、東端の日本では観賞する花木として植えられた。中間では文人画の問題にもなっていたが、その影響で日本では文人、けばなに欠かせない花材である。花材柘栂スプレー菊花器細川.屑蛮のH本は植物の成長や繁殖には適し柘棺(ざくろ)〈3頁の花〉3

元のページ  ../index.html#137

このブックを見る