テキスト2002
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りんどうりんどう細いひも状の独特の花を咲かせるマンサク(万作、満作)は万作科、万作属の落葉小高木で、二月に黄色の細い花弁の四弁花が葉に先だって咲く。作例の枝は、マルパノキ葉の木)で、京都でマンサクというとこの木をさすほど、よく使われる。こちらは万作科、丸葉の木属で、十一月頃に赤紫色の五弁花が咲き、葉は見事に紅葉する。ベニマンサクの別名がある。丸葉の木の葉は丸みのある心臓形をしている。作例の枝はとてもよくしまった枝で、葉の大きさも小さめの爽やかな印象の枝振りである。曲がり具合の面白い枝を立ちのぼらせて、その下から横へ枝を二本伸ばし、花器の右側で大きな広がりをつくっている。花器の前方へは短かめに枝を数本重ねて挿し出し、豊かな茂みをつくった後から、三色の竜胆を前後の奥行をゆったりとって挿している。竜胆の色は、背の高い二本が淡紫紅色で、中央に二本重なって見えるのが青紫色。左後方にほんのり紫色に染まった白色が一本。それらの小枝についた花を随所に加えている。竜胆の色彩が美しく映える。丸葉の木は緑の状態でいけたが、紅葉した枝なら竜胆の色の組みあわせを変えるといい。花材丸葉の木竜胆三色花器青緑紬広口花瓶(丸丸葉の木和則7

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