テキスト2001
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あしきしお春と秋に家元宅で行われる師範認証式の日には、家のあちらこちらに花を飾る。一生一度の大切な晴れの行事。感謝と祝福と激励と、様々な思いを込めて、家族でおもてなしの花をいけている。床の間には家元の生花、広間中央には母の盛花、玄関の掛け花やちょっとしたコーナーには手の空いた者がその季節の句の花をいけていく。昨月、五月五日の師範認証式には、玄関の朱塗の丸机の上に私が盛花をいけることとなった。大きな薄緑色の水盤に白色のカラ!と紫陽花。赤のグロリオサというとりあわせで、水際にモンステラを加えた。前後にゆったり奥行きをとり、横からも気をつけながらいれる。白の紫陽花は洋種だろう、大きな花は明るく美しいが、鉢植のものを切って使うと、水揚げが難しく、認証式の朝に一輪萎れていた。慌てて水切りをしたが、何とか皆さんが来られるまでに元気になってくれてほっとした。梅雨に咲く紫陽花は、いける時にもたっぷり水を吸い上げられるように、水を葉や花にもふりかけながら手際良くいけることと、いけた後も、度々深水で養っていけ直して長く楽しみたい。最後は花を水に浮かべておくのもいい。花材カラl、紫陽花、グロリオサ、モンステラ花器木村盛伸作淡緑柚水盤師範認証式の花和則10

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