テキスト2001
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いわゆる年初に当たって今年の元日から二十一世紀が始まる。すべての報導で新世紀に対する抱負と、過ぎ去った二卜世紀の歴史が語られるだろう。日本の二十世紀は上昇と下降、変化の激しい百年間だった。私が生まれた一九・一ヒ年は昭和初頭の豊かで明治以後とり入れてきた西欧文化にも馴染みはじめた時代である。先代が生まれたのは丁度一九OO年(明治三十三年)で、明治維新後H本も国力が上昇し、H清戦争(一八九五年)に勝利し、間もなく日露戦争(一九O四年)が始まろうとする時代で卜九世紀から二十世紀を生きた明治の人である。国力の上昇期に育った人は自信が強くなる傾向があるように思う。それが所謂「明治の人」の大きな特徴の一つだろう。一九二0年代から三十年代は明治後半から蓄えた富の頂点に立った一時期である。だがその山も第二次世界大戦での敗戦で一挙に潰えてしまう。ところが敗戦後、国民の努力と幸運のお蔭で国力を恢復して円本としては歴史上空前と用心えるよ、つな経済上の繁栄を待た。私はその百年間の動きを評論するだけの知識は持ち合わせていないが、二十一世紀を生きるにはその歴史を知る必要は大きい。つい3

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