テキスト2001
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ねむ人わさ参びやまあいけん大世帯の豆科植物〈3頁の花〉山葵の花は、山間の谷川の傾斜地を、雪解けの水が滴るように伝い流れるころに白い小さな点のように咲く。山葵の花を見ると、きまってその清例な生い立ちを思い起こす。そして、美しく丁寧に育てられた野菜を見ると、ただ料理して食べるだけでは勿体無くて飾っておきたくなる。花器として使ったのは、陶製の然なので、この三種の野菜にはよく合っている。花材うど花器豆科の植物の花は種々様々な形の花が咲く。代表的なスイートピーや藤の花には共通した形があるので豆科の植物であることは理解できるが、アカシアや合歓の木の花は全然異なった形をしている。山葵陶製氷形盛器豆科は菊科、蘭科に次いで顕花植物の中では三番目の大世帯で六百五十七属、一万六千四百種が世界中に分布している。草本性、木本性、話廷と直立形と生活形態も様々だが、実はすべて豆そのものの形になる。そこでやっとアカシアも豆の一種なのだなということがわかる。一旦私柚物の説明が長くなってしまったが、アカシアは、春の黄色系の花木としては、連麹と共にその代表種だと云っていいだろう。房々としたアカシアの花には赤系統、或は紫系統の花に白い花をまじえると、それぞれの花の色がくっきりと浮かび上がる。その一例としてピンクの蕃薮と白花のアルストロメリアをアカシアにと句ムロわせてみた。この配色からアルストロメリアをとって、アカシアと淡く赤紫系の色を含んだピンクの帯薮の二種だけのとり合わせを相復してみると、色の対照が強くなり過ぎるだろう。白のアルストロメリアが強い対照を中和しているわけである。色調の配合は微妙な差がいけ上がりの感じを大きく変える。花器の色も含めて感覚を磨きたい。花材アカシアアルストロメリア普被花器白色粕コンポート3 スイートピ一等普通の豆科の花

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