テキスト2001
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お為柳格水仙花型花器朱塗横長角本盤一月、半ばを過ぎても春はまだ遠い。鴨川には北山から冷たい風が吹き瓦してきで枝垂柳の枝を捲き上げ、枯草が乾いた音を立てる。柳の下に立って、川上を見ると、北山は斑に雪が積もっている。今から五十年前は静かな冬景色だった。もっと昔、江戸時代、そして平ム女時代の鴨川はどんな感じだったのだろうと想っていると突先エの下でいつの間にか日が暮れ始める。薄聞の中で枝垂れの細枝が顔のまわりで少し小さく、少し大きく揺れる。時折小雪がちらつく。中氏、にかん心を奪われている物好きなのである。凶季にいける花のうち、冬は枝垂柳がいい。切りとった柳をそのままあまりTτかけず、捌きをつけるだけで胤も小雨も、川の流れ、枯草の三株いけ立てる乾いた瞬き、川烏の羽青まで感じられるような花がいけられたら、と毎冬倦きずに枝垂柳につき合ってもらっている。用いた枝垂柳は、枝垂枝のあまり長くない中垂柳で、細い垂枝は一、これぐらいで生花や投入にはこれぐらいの大きさの柳をえらぶ。枝垂柳にとり合わせた椿は一重咲の「曙」で淡いピンクの上品な椿である。水仙は右端に七株、真中に二株挿している。葉組は二月なので花は葉よれι両く組んでいる。〈表紙の花V節分の翌H、一月の四Hが立春。冬と春との境日の日だとされているが、まだ太陽は低く、日照時間も短かいので士も凍てつくような日が続く。着ミき更ら衣主づ月与とは少しユーモラスな二月の異称である。いけばなでも春を先取りしたくなり、三月にならないと花屋に出てこない茎付のスイートピー(枝ピl)に似た花もいけてみたりする。とり合わせの可愛い小輪のチューリップがまだ身近に感じられない春を呼びこんでくれそうである。かくチューリップを聞かせたい。花材チューリップ花器内色柚変形花器椛ヒlはのびのびと、その下で暖伐ヒl83

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