テキスト2001
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うるさん今年も椿の季節がやってきた。四季を通して、庭には様々な花が咲くが、どの花も、はじめの一輪が咲いたのを見つけた瞬間に感じる幸福感は、なんともいえずいいものだ。椿は、寒い冬にも少しづつ奮をふくらませて、春の気配とともに花色が見えてくる。いつ咲くかなと待ちこがれていると、ある朝、大輪の花がそこにある。艶のある濃い葉色に柔らかなそして鮮やかな大輪の花。椿の最初の一輪との再会は格別だ。椿の品種はとても多い。でも庭に咲く品種と花屋でよく見かける品種とをあわせても馴染の種類は限られる。そこで椿見物に出かけるわけだが、京都には椿の名附が多い。朝日カルチャーの野外講座で京の四季を訪ねる講師を勤めている椴子が、一日の椿めぐりに選んだのは北野の地蔵院、と霊一鑑寺で、それぞれに名椿がある。地蔵院は待寺と呼ばれ、山内ゆかりの「五色散り椿」がある。寺伝によると加藤消正が文禄の役五九二年)で朝鮮の蔚山から持ち帰った椿を秀吉に献じ、秀土門は北野大茶会の際にそれを地蔵院に寄進したと伝わる。白、紅、薄紅、しぼりなど色とりどりの花が咲き、花びらは初枚前後で一枚づっ散る。等持院は地蔵院にほど近く、「有楽椿」の大樹がある。有楽は織旧布uu秀有印等持院、東山の法然院吉ち椿楽斎に因む名で、明るい桃色一重でわずかに紫色を帯びる。佐助の仲間である。等持院は足利尊氏の創建で、夢窓国師の作った庭が拝見できる。法然院は銀閣寺に近い東山の山裾笠に椿あ」「り、貴あこて椿めこ」「いで五は色公散開り日椿限」定での「一一一花名に白斑のある八重咲き。貴椿は白の大輪八重咲きで紅の縦紋がある。霊鑑寺は非公開寺院であるが、年によっては椿の季節のみ公開される。こちらも法然院と同じく東山の裾にあり、代々皇女が住職としてお入りになった門跡寺院で、初種の椿がある。後水尾天皇遺愛の樹齢同百年と準一疋される「日光椿」をはじめとして様々な色と形の椿が楽しめる。この椿めぐりは3月下旬から4月上旬がいい。一昨年のこの野外講座た格の花を持ち帰り、家の食卓に飾ってくれた。探皿に水をはって盛られた梼の花は、どれも珍しく、かった。そして4つの寺院それぞれの味わいがあるという話などをしてくれた。大輪緋色の椿が手に入ったので、胡蝶蘭の足元から前へ低く仲ばし、雪柳の円い花を上からかぶさるように入れた。悼の葉はきれいに拭いて艶のある深い緑色の葉を大切に扱う。花材胡蝶蘭花器焦茶色陶花瓶のu、根子がそれぞれのお寺で拾っ雪柳格美しん椿を見ることができる。花笠椿は紅(a2

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