テキスト2001
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(第三極郵便物認可1985年日月お日)桑原市守慶流いけばなテキスト制号2001年9月1日発行(毎月l回1日発行)桑原市守慶流家元発行定価五OO円お月見ホ「も、?すぐお月見ね。ケンちゃんとこで見せてもらおうかな」ヶ「ウン来て、ホッホちゃん泊まってくれる?オヂイチャマも。お月さんは僕のこと好きやねんで。こないだ園田のおばあちゃんとこからの帰り、ずっと家までついてきてくれはったえ。」多分母親のはながそう話してやったのだろう。私達も幼い頃をほーっと追憶してしまうような風景である。ホ「ケンちゃん、お月さんの絵を描いてくれる?」健一郎は少し考えてケ「ょう描かんわ」ホ「ただ丸を描いたらいいだけなのよ」彼はまだ考えている。丸を描いただけでお月さんになるのかどうか。頭の中に色んなお月さんが浮かんだり消えたりしているらしい。一緒に走ってついてきてくれるお月さん。丸くなったり雲の聞にかくれたり。でもホッホちゃんに云われた丸いお月さんを描いてくれた。ただし五つ。どうして丘つなのか、そして左下のお月さんが二重である理由もわからない。次の十五夜は多分十月一日だろうと回心う。できれば十一階の健一郎の部屋で一緒にお月見ができればいいのだが・・・:・。

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