テキスト2001
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込C判C仏ソrcもうせん・せい早坂焼の一期一会作家の早坂暁さんが選んだ俳句や短歌を糸口に、代表的ないけばな作家が、日本人の心の造形に挑む番組。その「桜」編には西行法師の、願わくば花の下にて春死なんその知月の望月のころを選ばれました。そしてその歌に対して、桑原専慶流副家元の桑原楼子が、吉野山の山桜を背景に棲づくしの空間をつくることで、棲の心を形にしようというのです。早坂「西行さんはもと北面の武士の時に天皇の娘に恋をして、その叶わぬ夢のため武士の地位を捨てて出家し、その後日本中を歩きながら扇わくば・:」とい三一一一葉を残して亡くなった。日本人の心の情感の祖型をつくった方。西行さんが死に花として選んだ桜を、棲子さんには、桜のもとで春生きようという、生きる方を表現してもらった。しかも’Kとして。」吉野山は昔、役行者が開いた修験道の霊山。吉野の桜は神の桜であって、切ることは許されません。山桜に固まれた展望台に、京都からこの日のために運んできた淡い薄紅色花ごよみ桜編NHKBSハイビジョン7月日日放送(撮影は4月日日・げ日)楼子「私は桜の季節に生まれたので、桜にはその生を受けて生きるというイメージが強いです。桜の花が水辺に枝を伸ばす姿を見て、私もああなれたらなと回心う、そんな優しさが桜にはあります。桜の中でも枝垂桜や里桜のように、葉よりも先に花を咲かせて、下向きに(私達の方に)咲いてく男性的な山桜を背景に、京都的な女性的な線で桜を見せたい。」れる柔らかな線の桜が好きです。いけ終えた桜の前に、毛艶が敷かれて、桜の絵柄の器に、桜に凶んだ料理が盛りつけられていきます。この料理はすべて前日からスタッフと共に宿で下準備をしたものです。桜柄の着物に着替えた棲子が、両親(仙漢と素子)と早坂さんをお客様として迎えます。前日は棲子の誕生日ということで、家族からのパースデlカlドが渡され、桜の宴はなごやかに進みます。大皿の桜の絵柄の上には山芋をくり抜いた蝶々が飛んでいます。棲子「私にとって、花をいけることと料理をつくることは、すごく共通したものがあり手品す。どちらにも誰かのためにという気持ちがある。料理はこの人にこんなものを食べさせたいなと思ってつくります。いけばなもはじめは自分のためという気持が強かったのが、料理をするようになってからは、誰かのために花をいけようという気持ちが強くなりました。」桜の花を漬けこんだ桜緬をいただかれた早坂さんは「五臓六蹄に桜がしみわたる。」と、桜の生を満喫して下さいました。早坂「桜満開のところで生まれた桜の申し子のような楼子さんが、桜の下で生きてみようというテーマでつくってくれた桜づくし。そこから、美しく生きようという、京女の逗しさを感じとってしまい桜を日本人の魂にまで昇華させてくれた西行さんに対し、棲子さんは、あくまでも肉体化することに執着しました。この京女の桜の作品に、どうか拍手を下さい。」棲子が料理教室をはじめて五年。花と料理のスタッフを育てながら、共に培ってきたそして今回の貴重な経験としての桜づくしの空間づくり。両親から受けついだ花の心を棲子は形にして見せてくれました。今回の撮影に協力してくださったスタッフの皆さんと、「美しく生きよう」という言葉をプレゼントして下さった早坂暁さんに心から感謝申し上げます。幸ナしれん。もてなしの心〜(報告和則)H8

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