テキスト2000
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おぐらいけ先代専渓の生花「桑原専慶流挿花図鑑」より七月に入ると京都でも蓮が咲きはじめ、八月のお盆を過ぎる頃まで咲き続けている。蓮の花は広い池一面を埋めつくした大きな葉の聞から伸び上がって咲いたのを見るのがいい。昔(昭和初期)は京都近くの、{子治の巨椋池で野生していたし、広々した食用の蓮池もあって逗しい蓮の生命カを実感する機会は多かった。この蓮の生花図(昭和十年頃)も多分先代が自分で巨椋池で早朝に切ってきた大きな蓮を水揚げして手早くいけたものだろうと思う。大体の大きさを花器の高さ(三十代ン)から割り出してみると、葉の高さは花器の口からk約百十四句、葉の直径は約五十二でとなる。従っていけ上がりは花器の高さも加わって高さが約百四十四弓もあり、副にも留にも大葉を用いているので力強く迫力のみなぎった生花であったことがわかる。だが水揚がりのよくない蓮のいけばなは一日花である。とくに葉数を多〈使、っ蓮一色の立花では、池で夜明けを待って切り、急いで家に持ち帰って水揚げして九時頃までに立て終っても、午後になると、二枚、三枚と生気を失って葉が巻き上がってしまう。だが年に一度はいけたい花である。真の茎ハ的品川・ちhm寸ぬ毛7 a

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