テキスト2000
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なつはせ’v 万葉時代、平ム女時代を経て徳川時先代専渓の生花〈裏表紙の花〉「桑原専慶流挿花図鑑」より四月号で、先代の春の杜若の生花園を掲載した。今月号ではそれから三ヶ月たった夏の註右の図である。見くらべてみると、春の杜若より花が葉より高く成長し、葉が柔らかく操っている。この杜若は四季咲きとい、2問種で春の自然品種の杜若とくらべると葉の幅がややせまく、花茎も細い。元禄時代の註右十二品種のうちの一つである。杜若の鑑賞の歴史は花菖蒲より古い。そえていける。あh£cたりかもしれというのは花菖蒲の野生群落は関東以北に多く、都に近い本州中部では註右を見る機会が多かったせいらし代中期までは栽培されていた社若の品種は十二種あって花菖蒲の八種より優勢で、いけばなにも早〈から使われている。この絵の肩には「四季咲かきつはた夏の扱」として七月二十日にいけたと記されている。多分昭和七年(.九三二年)夏の一瓶だろう。この図例は真、副、胴、留、控の五体で真は菅と葉三枚組、副は葉だけの三枚組、胴は開花一輪に葉を五枚、留には実を低く使って春の花が実を結んだ形で葉を五枚組んで添え、控は葉二枚でいけ上げた優実な生花である。『花壇地錦差に出ている緑のかぎ風おと音八日初夏から一夏中山の中や野原で日本の百合が咲く。日本は百合の国といってもいいほど沢山の種類の百合が咲く。多くの自然品種のうち、私達が最も好んでいるのは多分笹百合だろう。色は白に近いピンクからほんのりと淡紅色のさしているのもある。香は甘くやさしいがきつくはない。大きすぎず、小さすぎもしない。毎年咲くのを待ちかねる花である。いつも季節の枝物花材に桔梗などをないが、それはそれで季節の到来を静かに味わえるいいとり合わせである。百合の国日本からヨーロッパに迎えられた山百合や鹿の子百合は、彼地でかなり変貌して里帰りしはじめて二十年近くなった。笹百合と夏櫨にとり合わせた大輪のピンクの百合もオランダから里帰りした品種である。その大きさで笹百合を圧倒しているように見えるかもしれないが、百合同士なので違和感はなく配色としても良い。そして七月には為朝百合が咲きはじめるが三種ぐらいの色違いの百合を集めていけてみたい。花材笹百合ロザリオ(ピンク)夏櫨花器黒色利広口花瓶頁の花V11

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