テキスト2000
83/145

ななかだ玄どが作例の深山南天(学名l南なん京さん伐り出す花器私達の使う花材の殆どは切り花の栽培業者が育てたものを花屋を通じて買っている。七竃)は今でも山の中から伐り出されてくる枝物花材である。その伐り出しを仕事にする人もあって、そういう人々が日本的ないけばなを支えていてくれるのである。私も昔山へ自分の花材を伐に行ったことはあるが、そう楽な仕事ではない。一度仲間の家元二人と私の三人で高野山へ深山南天を伐りに行ったことがある。卓の通れる道から遥か彼方に群生している所があるらしい。そこは南向きの斜面で六月半ばだと日射しが強い。群生といってもまばらにしか生えていないので十本集めるのにかなり時間がかかる。一握りほど集まったところで近くの水溜まりに漬けに行く。そうしないと帰るまでに葉が萎れて落ちる。何度も三、四百灯下の水溜まりまで往復してようやく深山南天を一束作ることができた。山へ花材を伐り出しに行くことを教えてくれたのは先代だが仲間三人で行った高野山の空の青さと暑さは強烈な想出として残っている。花材深山南天(南京七竃)穂咲七竃淡青緑色紬花瓶位相税2山し10

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る