テキスト2000
52/145

せいか株分け生花二〈2頁の花V四月もなかばを過ぎて、春の花木ものの稽古がひととおりすむ頃、花菖蒲や巧薬、撫子といった清々しい初夏の花材が出てくる。天、人、地の三体の形にはめながらも、植物の出生を器の上に写しとる生花様式には、いける人の技術の度合いがはっきりと出てくるが、ある程度身についてきた頃には、家のどこに、どんな器にいけょうかと考える楽しさも味わってほしい。表紙と2頁に、花菖蒲と苅薬、杜若と撫子とい、っ岳彩的な組み合わせの株分け生花をいけているが、表紙の花には、ドイツ製のモダンな模様が軽やかに描かれた水盤を使い、頁の花には三色虫ずの深皿を選んだ。どちらも角型剣山を横向きに一つ使って主株を左後に、子株を石支別に寄せていけ、剣山が隠れる程度に小石を入れている。器にあわせて小石の種類も変、えてみた。花菖蒲の葉は五月ではまだ柔らかいのでオクロレウカの葉を使った。〈表紙の花V花型生花株分け花材花菖蒲の花オクロレウカの葉苅菜花器ドイツ製陶水盤花型生花株分け花器−二邑甲子深皿花材社若撫子瓶和則22

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る