テキスト2000
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紫源氏ZL具より渋く、もっと鳶色がかった紫源氏は私の好きなシンピジュームの一つである。花弁が細長く色は濃い赤紫色である。シンピジュlム属の蘭は熱帯アジアを中心にヒマラヤ、中国、日本からオーストラリア北部にまで分布している。そのうち、中国西南部や日本に自生している小型のシンピジュlム属の原種を東洋蘭とよんでいる。そして観賞の歴史は紀元克前遡ることができ、宋時代の文人の書斎にはなくてはならない花となった。日本でも中国文化に触発されて蘭に興味をもつようになって詩や絵画の中にとり入れられてくる。作例に使った紫源氏は東洋蘭のような小型の原種ではなく、交配種の大型洋蘭である。だが花弁が丸くてぼってり咲ど他のシンピジュlムと違って細長い花弁と、或る種の実蘭の花色と似ているのでどことなく東洋蘭のような感じのする花である。開花期は初冬だそうだが、かなり長期間咲き続ける。作例では白椿ととり合わせた。おとなしい配色だが、色も形も主張の強い花器にいけてみると葉の伸びやかな線もはっきりと表現できた。花材紫源氏(シンピジュlム)白椿花器鱗文陶花器9

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